自分も患者になりました。②
精密検査の結果、幸い癌や結核の所見はありませんでした。CTで見える腫瘤の形などか
ら肺真菌症(カビ)の可能性が高いと診断されました。
試しに抗真菌剤を服用することになりました。
2か月後CTを取ると腫瘤は少し小さくなっており、がんの可能性はほぼ否定され、安心
しました。
患者さんの検査結果を待つ不安、恐怖を体験できたことは大変勉強になりました。
診断がつかない患者さんに対する医師の言葉がいかに大切かを身に染みて感じました。
抗真菌剤が効くことがわかったことと、倦怠感があったため、
この薬を試しに止めてみることにしました。
ちょうどその頃、勤務していた病院を退職する許可が下り、開業に向けて
大きく進路変更をする時期でした。
それまでの約15年間、自分が医師としてやりたい医療と実際にしている医療に少しずつ
ギャップを感じるようになりました。
そのうち自分がやりたい医療がだんだん形になってくるに従って、はやく開業したいと思うようになり、焦りも出てきました。
健診で肺の影が見つかった時がそのピークの頃でした。
肺に異常を指摘され肺真菌症と診断されるまで、家族を含めたくさんの方々に支えら
れ、人のありがたさに感謝し、患者さんの気持ちがさらにわかるようになりました。
それから4か月くらいたってもう1回CTを受けました。
かなり腫瘤は縮小していました。もちろん抗真菌剤は服用していませんでしたが、
開業に向かって進み始めたのでストレスは減っていました。
担当医に薬を飲んでいないことを正直に伝え、薬飲まなくて縮小したのだから、
CT検査も今後必要ないということになりました。