風邪は体のSOS
5年以上前のある晩のこと、私は当直をしていました。
30歳くらいの男性が風邪症状で受診され、風邪薬だけでもらえばすぐ帰りたい
ような話を看護師にしていました。
カルテではその患者さんは月1回くらい風邪で受診していました。
アルコール、たばこ、・・・
熊澤「仕事大変でしょう。」
「えぇ、まあ・・・」
涙が込み上げて必死でこらえている。
右手にユンケルを持って。
薬を貰いに来たんじゃないとわかりました。
「なんでわかるんですか?」
「毎日忙しすぎて帰宅してシャワー浴びて寝るだけです。仕方ないかなって。」
熊澤「薬は出しますけど、休養が一番ですね。栄養も。食べすぎだめですよ。
糖質はとりすぎないように。ビタミンはこれが・・・・」
仕事のストレスでアルコール、たばこでストレス発散し、体が悲鳴を上げ、
風邪症状でSOSを出していました。
会社のストレス、上司のこといろいろ話をしてくれました。
ストレスが原因であり、栄養、休養の大切さを説明して薬を出そうとしたところ、
「いえ、薬は要りません。お話しして気持ちが軽くなったので、ビタミン剤買って
帰ります。まさか病院でグチ聞いてもらえると思いませんでした。」
とちょっと元気になって帰っていきました。
ゴミを吐き出せずため込むと、
その人が持っている自然治癒力が発揮できなくなります。
病気は気づきです。不幸なことばかりではありません。
「おい、違うだろ!不自然だろ!」と教えてくれていると思います。
高校の倫理社会の教科書に「自然に帰れ」というルソーの言葉があり、
意味も解らず覚えていたのを思い出しました。
この患者さんの最後の言葉を聞いて、夜中に当直してよかった!
と思う自分に気づき、開業を決意した瞬間でもありました。